吉田初三郎・作「神奈川県鳥瞰図」など大正から昭和初期に描かれた鳥瞰図は、航空機が一般的ではなかった時代に高いところから見る視点を提供してくれました。これらには名所旧跡などが外観を再現した挿し画で絵解きされていますが、立地している場所や全体的な山水についても立体的に表現していることが見どころとなっています。この特別展では、鳥瞰図という題材について、生み出された時代背景を人文科学的、地形表現を自然科学的なアプローチで迫ります。
◆展示紹介
1.初三郎式鳥瞰図とは?
大正から昭和にかけて活躍した吉田初三郎らの鳥瞰図絵師が描いた、独自のスタイルを持った鳥瞰図を「初三郎式鳥瞰図」と称しています。ここでは、吉田初三郎とその弟子たちの人物像を含めて紹介します。
2.昭和初期の「かながわ」
神奈川県立歴史博物館所蔵の肉筆原画「神奈川県鳥瞰図」のレプリカ(横幅4m)での地形の描き方を、当時の地形図と比較しながら紹介します。また、印刷物「神奈川県観光図絵」との違いを紹介します。
3.「かながわ」を旅する
箱根や南足柄・大雄山周辺は、国立公園への指定が検討され始めた昭和5年から指定された昭和11年にかけて、ブームのように鳥瞰図が多数作成されました。またこの時期は、海外からの観光客を誘致する動きがあり、その影響についても迫ります。
4.「かながわ」を描く―鳥瞰図の再現―
航空機での移動などが自由ではなかった時代に、なぜこのような鳥瞰図を描くことができたか、鳥瞰アングルを推定したCG鳥瞰図などを使って紹介します。
5.「地形表現の変化」
山々の表現は、こんもり盛り上がった型から、短い線によって山ひだを表す「うんせん」、同じ標高を線で繋ぐ「等高線」、コンピューター計算による陰影表現や作図などと進化してきました。
◆吉田 初三郎(よしだ はつさぶろう)とは?
1884(明治17)年3月4日~1955年(昭和30)年8月16日。京都生まれ。大正から昭和にかけて活躍した鳥瞰図絵師。「大正の広重」と呼ばれ、観光名所や鉄道沿線などを描いた作品は1,600点以上といわれている。
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開催期間 | 2025年7月19日(土) 〜 11月9日(日) |
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時間 | 9時~16時半(入館は16時まで) |
場所 | 神奈川県立生命の星・地球博物館 |
料金 | 20~64歳(学生を除く):720円、20歳未満・学生:400円、高校生・65歳以上200円、中学生以下:無料 |
アクセス | 箱根登山鉄道「入生田」駅より徒歩約3分 |
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主催・協賛団体など | 【共催】神奈川県立生命の星・地球博物館、神奈川県立歴史博物館 |
TEL | 0465-21-1515 |
お問い合わせ先 | 神奈川県立生命の星・地球博物館 |
ウェブサイトURL | https://nh.kanagawa-museum.jp/ |