中国における『水滸伝』誕生の背景、
『水滸伝』の日本における流行、
イメージの多層化を追う。
北宋時代の名品、
明時代の版本、
国芳の出世作、
挿絵や漫画原画、
ドラマ衣裳など見どころ満載。
◆展覧会概要
中国四大奇書の1つとされる『水滸伝』は、北宋時代の史実をもとに成立しました。小説の内容は、十二世紀、徽宗[きそう]皇帝の治世を舞台に、腐敗した政権に不満を抱いた宋江[そうこう]率いる108人の豪傑が梁山泊[りょうざんぱく]に集うというものです。
日本に伝わった『水滸伝』は江戸時代に一大ブームを巻き起こし、オリジナルとは違った新たな物語や表現が生み出されていきました。曲亭馬琴は葛飾北斎の挿絵で『新編水滸画伝』を出版、さらにその日本版ともいえる『南総里見八犬伝』を著し、その後多くの翻案作品も生まれました。
また、歌川国芳が描いた豪傑たちの錦絵は、彼の出世作としてよく知られています。現代でも、小説や漫画、ドラマ、ゲームなど、多彩なメディアで『水滸伝』のイメージが親しまれているといえるでしょう。
本展では『水滸伝』に着想を得た作品とともに、物語が生まれた時代背景や世界観を、美術と資料を通して紹介します。北宋~清の多彩な中国美術、および江戸~現代にいたるまでの日本美術を多角的に展観し、『水滸伝』の奥深い魅力に迫ります。
■すいこでん【水滸伝】
中国、明代の口語体の長編小説。四大奇書の一。100回・120回・70回(清の金聖嘆[きんせいたん]が物語の後半を削除して改作したもの)の諸本がある。施耐庵[したいあん]作(羅貫中[らかんちゅう]が合作、または改訂したとする説もある)。 成立年代未詳。
宋江[そうこう]を首領とする108人の豪傑が山東省の梁山泊[りょうざんぱく]を根城にして官軍に抵抗し、やがて滅びていく物語。「宋史」にも載っている宋江の反乱が、説話や芝居・小説などに脚色されて民間に流布していたのを集大成したもの。(『大辞林 第3版』より)
≪TOPICS≫
連続ドラマ「北方謙三 水滸伝」の衣裳を展示
北方謙三の小説『水滸伝』。シリーズ累計発行部数1160万部を超える大河小説の金字塔を映像化したことで大きな話題となった連続ドラマ「北方健三 水滸伝」(WOWOWオンデマンド、Leminoにて配信中)の衣裳が本展にて展示されます。
音声ガイドナビゲーターに亀梨和也さんが就任
連続ドラマ「北方謙三 水滸伝」林沖役の亀梨和也さん(タレント・俳優)が本展の見どころをたっぷりと解説します!
▼第1章 梁山泊へようこそ
中国で生まれた物語『水滸伝』は、日本に伝わり、長く愛されてきました。その世界を鮮やかに描き出したのが、江戸時代後期の浮世絵師・歌川国芳です。国芳の出世作作「通俗水滸伝豪傑百八人之一個(壱人)[つうぞくすいこでんごうけつひゃくはちにんのひとり]」では、豪放な好漢たちが、筋骨たくましい姿で画面いっぱいに躍動しています。この連作は現在74枚が確認されており、本展ではそのすべてを一挙公開します。国芳が描いた“梁山泊の世界”をどうぞ存分にお楽しみください。
▼第2章 豪傑たちの生きた時代
『水滸伝』の舞台となった北宋時代の末期は、都市経済と文化が大きく栄えた時代でした。その繁栄を象徴する作品が、都・開封[かいほう]の賑わいを描いた重要文化財、趙浙[ちょうせつ]《清明上河図[せいめいじょうがず]》です。燕文貴[えんぶんき]《江山楼観図[こうざんろうかんず]》や、宮廷で珍重された汝窯[じょよう]《青磁 水仙盆[せいじすいせんぼん]》、さらに黄庭堅[こうていけん]*1、米芾[べいふつ]*2、蘇軾[そしょく]*3 の書など、北宋文化を代表する名品の数々をご紹介します。
しかし、華やかな都市文化の裏では、重税や格差に苦しむ人々も多く、社会には不安が広がっていました。『水滸伝』の豪傑たちが生まれた背景には、こうした矛盾を抱えた時代の姿があります。
本章では、繁栄と不穏が交錯する北宋時代末期の世界を、宮廷文化と文物を通してたどります。
【展示期間(予定):*1=9/19~10/2、*2=10/3~10/25、*3=10/14~11/8】
▼第3章 武侠小説・水滸伝の誕生と流行
『水滸伝』はフィクションですが、そのルーツには徽宗[きそう]朝で起きた宋江[そうこう]の反乱(1121年)があります。史実では盗賊として記録された宋江一味も、宋末元初に龔開[きょうかい]が「宋江三十六賛」で義勇を称えたように、次第に“義”を重んじる英雄として語られることとなりました。
本章では、美麗な挿画を備えた120回本の『忠義水滸全伝[ちゅうぎすいこぜんでん]』(明時代末)をはじめ、パラレルワールド的世界を描く『新刻繍像批評金瓶梅[しんこくしゅうぞうひひょうきんぺいばい]』(明時代末)、さらに中国で描かれた水滸伝群像を日本の絵師が模写した作品などを展示いたします。水滸伝がどのように生まれ、広まり、多層的なイメージを帯びていったのかをご覧いただきます。
▼第4章 拡張する英雄像
17世紀に『水滸伝』が日本にもたらされると、18・19世紀には翻訳や翻案が次々と刊行され、大きな流行を生みました。 その図像表現の先駆けとして挙げられるのが、曲亭馬琴作・葛飾北斎画『新編水滸画伝』にみられる、北斎ならではの大胆な構図と迫真の人物描写です。 歌川国芳も、先行する図様を踏まえつつ独自の創意を加え、多彩な水滸伝世界を描き出しました。『水滸伝』のイメージは歌舞伎、狂画や、遊女を豪傑になぞらえた錦絵、さらには双六や半纏にまで広がり、江戸の人々の日常へ深く浸透していきます。さらに『水滸伝』の英雄像は、馬琴の『南総里見八犬伝』を生み、日本独自の英雄像へと姿を変えながら、鮮やかに拡張していきました。
▼第5章 忠義のゆくえ
『水滸伝』は現代にいたるまで読み継がれ、文学や美術だけでなく、映画、ドラマ、漫画、ゲームなど多様なメディアで新たな解釈が重ねられてきました。梁山泊の豪傑たちは、時代ごとに異なる姿で描かれ、「水滸伝」という言葉自体も豊かな広がりをみせています。
本章では、小説を彩った挿絵や漫画原画、白髪一雄のアクション・ペインティング、連続ドラマ「北方謙三 水滸伝」の衣裳、小林勇輝のパフォーマンスなどをご紹介。これらの資料を通して、『水滸伝』が現代日本の文化・芸術の中でどのように展開し、忠義や抵抗といった主題がどのように変容してきたのか、そのゆくえを探ります。
| 開催期間 | 2026年9月19日(土) 〜 11月8日(日) |
|---|---|
| 時間 | 10時~18時(金曜日は~20時) 休館日:月曜日(9/21、10/12、11/2は開館)、10月13日(火) |
| 場所 | 東京ステーションギャラリー |
| 料金 | 一般1,600(1,400)円、高校・大学生1,100(900)円、中学生以下無料 |
| アクセス | JR「東京」駅 丸の内北口改札前 |
|---|---|
| 主催・協賛団体など | 【主催】東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団) |
| TEL | 03-3212-2485 |
| お問い合わせ先 | 東京ステーションギャラリー |
| ウェブサイトURL | https://www.ejrcf.or.jp/gallery/ |