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コーヒー生豆に存在するカビについて

投稿日:2018年12月30日
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1. 目視による不良豆の選別・除去(ハンドソーティング)
当店のハンドソーティングは、①生豆の水研ぎ前、②生豆の水研ぎ後(送風機による生豆乾燥時間中)、③生豆焙煎後(焙煎豆)の3回行います。特に②の段階に於いて念入りに生豆状態をチェックしますが、時々「青色っぽいカビ」に侵された不良豆を発見します。この「青色っぽいカビ」が食品安全上問題として挙げられるオクラトキシン A (以下 OTA) を産生する「アオカビ」と同種の可能性があり、かび毒のリスク回避のため徹底的に除去することにしています。CBBと呼ばれる害虫から被害を受けた生豆はピンホール損傷があります。その孔は生豆表面から内部に進行しており、その内部が「青色っぽいカビ」で汚損されていることが多いため、その特徴的な色を覚えておけば、比較的簡単に見つけることができます。一粒の生豆に複数個のピンホールが出来ている不良豆もあります。また、今までに視認した中で最も酷い「青色っぽいカビ」による不良豆は、何らかの理由により生豆の一部分が大きく欠落しているもので(虫食いによるものなのか、他の原因であるかは不明)、その大きな空洞部には「青色っぽいカビ」がびっしりと寄生していました。

上の画像は、ハンドソーティングの際に発見した、インドネシア産 ワハナ農園 ロングベリー品種の不良豆の標本です。経時変化で全体的に退色が進んでしまっているため、「青色っぽいカビ」の特徴的な色としての参考にはなりません。しかし、豆の一部が大きく欠落していることが分かります。スペシャルティコーヒーは一般的な(コモディティー)コーヒーに比べて遥かに高品質とはいえ、不良豆が全くゼロと言うわけではありません。このワハナ農園 ロングベリー品種は高価な生豆の部類に入りますが、画像から見ても分かる通りハンドソーティングは欠かせません。

2. OTA について
2.1) 農林水産省が優先的にリスク管理を進めているかび毒(平成28年1月現在)の中に OTA がリストされており、次のような説明があります。「1960年代に南アフリカで穀物から分離され、その後の動物試験などで、肝臓や腎臓への毒性が確認されました。アスペルギルス属 (Aspergillus, コウジカビ) 及びペニシリウム属 (Penicillium, アオカビ) の一部のかびが産生するかび毒であり、穀物、豆類、乾燥果実、飲料などいろいろな食品から検出されています。北欧諸国におけるブタの腎障害やバルカン諸国における人の腎疾患との関係が疑われています。動物試験では腎毒性及び発がん性が認められています。」(脚注1
2.2) 内閣府 食品安全委員会による評価結果の要約で「リスク管理機関において汚染状況についてのモニタリングを行うとともに、規格基準について検討することが望ましい。」とコメントされています。 (脚注2
2.3) CODEX (脚注4) では、「焙煎することにより OTA を著しく除去することが可、焙煎工程次第では OTA を65~100% 除去可」、 ICO の実施規範(脚注5) でも「焙煎中 OTAは著しく減少、焙煎後は水分レベルを5%以下に保つこと」との説明があります。
2.4) 不良豆の存在は OTA の発生に著しく影響を与えます。中でも発酵豆、虫食い豆で青みを帯びたもの、虫食い豆、黒豆、奇形豆等は OTA 汚染を増加させる一番の原因となるとの調査結果があります。(脚注7)

3. 焙煎直前に行う生豆の水研ぎ
青色っぽいカビ」に侵された生豆が存在するということは、同じ容器に入っている他の生豆もその菌類による汚染が多少なりともあると思われます。OTA焙煎で加熱しても完全には分解されず残ることもあると言われており、カビ、その菌類により汚染されたシルバースキン(薄皮)、土埃、及び異物等による汚れは事前(焙煎前)に可能な限り除去しておくべきです。青色っぽいカビ」に侵された生豆を高温に晒すとその特徴的な色は識別困難となり、ハンドソーティングでは除去しきれなくなると思います。
焙煎直前に行う生豆の水研ぎは、カビ毒のリスク回避にもある一定の効果があると考えます。ただし、水研ぎを済ませた健全な生豆は短時間で均一に乾燥させて直ぐに焙煎してしまうべきであり、生豆を湿った状態で長時間放置することはカビの発生原因となり本末転倒です。当店では、水研ぎを済ませた生豆は、素早く表面の水気を清潔なタオルで拭い去った後、30分間ほど送風機で風を当てて乾燥させ、乾き具合を確認し、焙煎機に投入します。

水研ぎ詳細:https://www.shonan-sh.jp/gokurakujicoffee/blog/水研ぎ焙煎について/

4. 焙煎豆の取り扱い
焙煎機の回転ドラムから取り出した高温の焙煎豆は、冷却用空気(室温)の流れがある冷却箱と呼ばれる部分に集められ、電動モーターにより攪拌され、余熱で焙煎が進まないように急冷されます。十分に冷めた焙煎豆はフルイに移して広げ、不良豆が無いかを確認します。健全な焙煎豆は100gずつの小分けにして脱酸素剤封入包装にし、酸素や水分から焙煎豆を守ります。エージング処理をしないで直ぐに(焙煎後1~2時間以内で)脱酸素剤封入包装をする理由は主に香味に及ぼす影響を考えてのことですが、衛生面でも有効な手段であると考えます。なお、生豆の焙煎作業に使用する各種器具(ステンレス製ボウル、バット、フルイ、スコップ等)は、言うまでもなく、当然ながら「焙煎豆用」と「生豆用」とに使い分けています。

+++++++< 以下参考 >+++++++

  1. いろいろなかび毒(農林水産省):http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/kabi_iroiro.html
  2. 評価書詳細 (内閣府 食品安全委員会):http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya200903190ks
  3. OTA risk management: Guidelines for green coffee buying (International Coffee Organization):http://www.ico.org/documents/ed1939e.pdf#search=%27OTA+risk+management%3A+Guidelines+for+green+coffee+buying+%28International+Coffee+Organization%29%27
  4. CAC/RCP 69-2009 – Code of practice for the prevention and reduction of ochratoxin A contamination in coffee:http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/sh-proxy/en/?lnk=1&url=https%253A%252F%252Fworkspace.fao.org%252Fsites%252Fcodex%252FStandards%252FCAC%2BRCP%2B69-2009%252FCXP_069e.pdf
  5. PSCB No.36/02 – Code of practice Enhancement of coffee quality through prevention of mould formation:http://www.ico.org/documents/pscb36.pdf
  6. フリー百科事典「ウィキペディア」:https://ja.wikipedia.org/wiki/オクラトキシン
  7. Influence of Coffee Processing and Defects on the Incidence and Occurrence of Ochratoxin A:https://www.researchgate.net/publication/267792957_Influence_of_Coffee_Processing_and_Defects_on_the_Incidence_and_Occurrence_of_Ochratoxin_A

 

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