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【とこ湘Blog】「みたらし団子が食べたい」考

投稿日:2020年11月24日
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こんにちは! とことこ湘南編集部Yです。

そしてみたらし団子です。
先週になるのですが、ラスカに出店されてた催事のお店で買いました。

何故って、もちろん桑田さんが作詞・作曲を手掛けた坂本冬美さんの新曲「ブッダのように私は死んだ」に触発されたからです。

いかにも桑田さんらしい言葉選びによる独特の世界観が超格好良い曲になっているのですが、特に曲終わり近くの「みたらし団子が食べたい〜♪」という歌詞が唐突かつ異様で、耳に残りました。



この曲を聞いてみたらしが気になりだしてしまう人は結構多い様で(私調べ)、坂本冬美さんご本人も「いつもは豆大福派だけど最近はなにかとみたらし団子をチョイスしてしまう」、という様なことをラジオでおっしゃってました。
冬美さんのみたらし団子トークを聞いていたら、ただでさえ心に残っていたみたらし団子のことが気になって仕方なくなり、ついには買ってしまったというところ。おいしかったです。
つい最近TV番組で、日本でエリンギを一般化させたのは桑田さんだ!という豆知識を目にしたばかりなのですが(マイクの代わりにエリンギを手にしていた、というモノボケをきっかけに、「エリンギってキノコがあるんだ!」「買ってみよう!」というようなことになったらしいです。影響力が凄い!)、みたらし団子の売り上げにも影響が出始めているかもしれませんね。

それにしても、なぜ突然みたらし団子なのか?

以前「アロエ」の歌詞の中でも突然ジャージャー麺が食べたくなっていたことがありましたし、桑田さんの「食べたいシリーズ」なのかもしれないのですが(そんなのあるかはわかりません)、同曲が「ジャパニーズ・フィルム・ノワール/歌謡サスペンス劇場」と銘打たれていることから、ノワールを読むのが好きな人間の端くれとして、その意味を考えてみました。

ノワールというジャンルを代表する作家として、ジム・トンプスンは真っ先に名前が挙がる一人だと思うのですが、
彼の代表作「POP1280」に収録されている、バリー・ギフォードによる序文にこんな一文があるんです。

 

トンプスンによれば、「頭を吹き飛ばされた男が1マイルも這っていくことがある。心臓をぶち抜かれた女が、電話で警察を呼ぶことがある(中略)」のだが、その様な小説を書いた者は、彼以外にいない。

 

私はこの一文が大好きで、トンプスンの作家性、そしてノワールとはどんなものなのかを端的に表していると思います。

確かにトンプスンの作品の中では、犯行を目撃された犯人がその瞬間、「こいつだ!捕まえてくれ!!」と目撃者を指さして追いかけて周囲に犯人を誤認させたり(咄嗟の行動過ぎて怖い)、体に合わないスーツを無理やり来ている女の人を(不格好だな)と思った瞬間に猛烈な恋に落ちてしまったり、と唐突で不自然とも思える人間の心理の動きや行動が描かれていて、「何でそうなるんだろう」とびっくりしながらも「でも本当に追い詰められたり尋常じゃない心理状態に陥るとこうなるのかも?」と紋切り型の描写やクリシェの連続の中では決して生まれないリアリティに慄然とさせられるのです。

上記の一文を思い浮かべると連鎖的に「ワイルド・アット・ハート」のワンシーンで、交通事故で深刻な重傷を負った女の子が、そんな状況なのにバッグか何かをふらふらと探していた姿を思い出します。(それにしてもよくリンチが出てくるスタッフブログですね)

リンチがトンプスンを読んでいたりするのかな…と思ったのですが、その確証はありません。
ただ、これを書くために検索していたらそもそも「ワイルド・アット・ハート」の原作がバリー・ギフォードだというじゃありませんか!!(それを知らないで↑を書いていたのだからお恥ずかしい限りです)
ギフォードもきっと交通事故のシーンに関してはノワール的表現として取り入れようという考えがあったに違いありません。

日常のレールを逸脱してしまった先に、ひょっとしたら思いもよらないような心理状態に陥り、そうでない世界にまだいる私たちから見たら思いもよらないような行動をしてしまうかもしれない。

裏切られ、穴に埋められた女性が最後にふと、みたらし団子が食べたくなるかもしれない。何かの思い出がある食べ物なのかもしれないし、ただ口の中が土でざらつき、甘く粘ついた、それでいてやわらかいものが恋しくなったのかもしれません。
「ワイルド・アット~」の事故のシーンもそうですが、死ぬ前に言い残したいこと、大切な事でも何でもない、何ならどうでもいいことを言いながら…というのがとても人間的で、切ないです。

男女の愛憎や、殺人がテーマであること以上に、みたらし団子がノワールなんだ!
と主張してみたいですが、「違うよ」と言われればすぐ撤回したいです。

(Y)

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